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蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)について

[2023.07.26]

《 蚊アレルギー(蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう))って? 》

 誰でも蚊に刺された経験があると思います。蚊は、掻きむしったりしない限り、それほど重症化することなく、数時間でかゆみや腫れが引いていくものです。しかし、蚊に刺された直後からかゆみ、腫れ、発疹が出る場合もあれば、刺されたときは何でもなくても、翌日以降に症状がひどくなる場合もあります。 蚊に刺された部分が他の人よりも赤く腫れあがったり、かゆみがなかなか取れなかったりするばかりではなく、ときには発熱をともなったり、リンパ節が腫れたり、 下痢の症状が出る場合もあります
これを「蚊アレルギー」と言われることがあります。

 

 

 蚊アレルギーの正式な呼び方は「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」です。蚊は吸血虫ですが、普段は花の蜜や草の汁などを主食としています。 メスが産卵するときに、卵の発達にタンパク質が必要となるため、動物の血液を吸血するのです。蚊は吸血するときに唾液を分泌しますが、 唾液には麻酔成分やが血液が凝固しないような成分も含まれています。このように蚊の唾液中にはさまざまな成分が含まれており、体質によってはこれらの成分に過剰反応し、 蚊アレルギーを引き起こすと考えられています。蚊刺過敏症は、幼児期に見かけることが多い病気です。蚊に刺されてから半日以内に38℃以上の高熱を伴い、水疱から深い傷(潰瘍)となり、その傷痕が1カ月以上経っても治らないなどの症状がある場合に蚊刺過敏症を疑います。  

 

 
           

 

 蚊アレルギーは、「EBウイルス」というヘルペス属のウイルスの感染が原因で起こると考えられています。このウイルスは決してめずらしいものではなく、 日本では成人するまでに約90%の人がこのウイルスに感染するとされています。EBウイルスに1度感染すると、リンパ球のひとつであるB細胞に潜伏し、 唾液内などに排出されます。そのため、キスなどで唾液を通じて感染します。20歳以上では90%以上が感染しており、それほど心配のないウイルスですが、まれにEBウイルスがB細胞でなくT細胞に持続感染することがあり、 EBウイルスを持ったT細胞が増殖し、発熱やリンパの腫れなどが起こる「慢性活動性EBウイルス感染症」となります。EBウイルスの感染した人の中でもごく一部に起こるまれな病気であり、EBウイルスがT細胞に持続感染した状態で蚊に刺された場合に、 重いアレルギー症状が出るのでは、という説もあります。しかし、慢性活動性EBウイルス感染症と蚊アレルギーとの関連性が明確に解明されているわけではなく、慢性活動性EBウイルス感染症は非常に珍しい病気のため、 蚊に刺されるたびに高熱が出るなどでなければ過度に心配する必要はないと言えます。ただし、EBウイルスの特効薬というのはありません。いかに蚊に刺されないようにするか。服装など虫除け対策を万全にするしか方法がないのが現状です。

 

                 

まだまだ虫刺されの多い季節ですので、刺されていつもと違う状態になった場合は、お早目に皮膚科をご受診ください。

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